history in U.K.

2014.04.07

造園家で造園史家でもあったマギー・K・ジェンクスさんは、乳がんが再発し、「余命数ヶ月です」と医師に告げられた時、「胃にパンチ」を受けたような強烈な衝撃を受けたといいます。にもかかわらず、次の患者がいるので、その場に座り続けることが許されませんでした。その時、がん患者のための空間がほしいと思ったそうです。そして、あと数ヶ月と告げられても、なんとか生き続ける術はないかと、担当看護師のローラ・リーさん(現CEO=最高経営責任者)と必死に探したそうです。がん患者は皆、同じ経験をしていました。 「自分を取り戻せるための空間やサポートを」 マギーさんは、がんに直面し悩む本人、家族、友人らのための空間と専門家のいる場所を造ろうと、入院していたエジンバラの病院の敷地内にあった小屋を借りて、誰でも気軽に立ち寄れる空間をつくり始めました。しかし、その完成を見ずに1995年、亡くなりました。そして、その遺志は、夫で建築評論家のリチャード・ジェンクスさんに受け継がれました。その小屋は、1996年にオープンし、「マギーズキャンサーケアリングセンター」と名付けられました。そして、徐々に全英の人達の共感を得て、2014年現在では英国で15ヵ所のセンターが運営され、7ヶ所で開設に向けての準備が進んでいます。このセンターの評価は海外にも広がり、2013年、英国外で初めてとなるセンターが香港に開設されました。 マギーズセンターには、がん患者や家族、医療者などがんに関わる人たちが、がんの種類やステージ、治療に関係なく、予約も必要なくいつでも利用することができます。マギーズセンターに訪れるだけで人は癒され、さまざまな専門的な支援が無料で受けられます。がんに悩む人は、そこで不安をやわらげるカウンセリングや栄養、運動の指導が受けられ、仕事や子育て、助成金や医療制度の活用についてなど生活についても相談することができます。また、のんびりお茶を飲んだり、本を読んだりするなど自分の好きなように過ごしていてもいいのです。マギーさんは、そこを第二の我が家と考えました。 建築をコーディネートするジェンクスさんは、マギーさんが残した「建築概要」に従うように建築家に設計を依頼します。それによって、さまざまな素晴らしい空間が生まれ、そこを訪れる人は、自らが尊重されているような気持ちになります。共に悩んだローラさんは、がん患者や家族、友人らの心を理解し、さまざまなケアを組み立てています。